海外イベントに出展するための資格とは?

出展費を払えること。以上。

「実績が認められないと出展できない」
「招待や勧誘されないと出展できない」
なんてことは基本ありません。

「知名度がないとダメ」
「英語が話せないとダメ」
なんてこともありません。
「日本代表としての自覚と実力を持ち、実績をしっかり積んだうえで日本文化の伝道師として云々」なんて覚悟も必要ありません。
必要な出展費用をちゃんと払えるかどうかの1点です。

イベントによってはさらに以下の条件をクリアする必要があります。

  • 申込者/代表者の住所がイベント開催国内にあること
  • ない場合は指定の代理店や申し込み窓口を通すこと
  • 申込者/代表者がイベント開催国のビザ(労働許可書)を所持していること

台湾最大規模の同人誌即売会「開拓動漫祭 Fancy Frontier」は、日本から出展申し込みをする場合、台湾国内に在住している代理人(有人・知人等)を経由することを推奨しています。いない場合は指定の代理店を通す必要があります。

この条件は国、イベント、出展内容によって大幅に異なります。
申込者/代表者に関しての条件のみ設定され、申込者/代表者以外に関しての条件は特に設定されていないイベントがあります。申込者/代表者以外は「申込者/代表者の管理下」という扱いになるためです。知名度、実績、コネ次第でイベント主催者側が条件を緩和することもあります。
面倒な話になるので、あえてこのサイトでは説明しません。察してください。

海外イベントに出展すべき人とは?

海外イベントへの出展(出店)参加は、見学者としてイベントへ行く一般参加とはまた違う楽しさがあります。「クールジャパン」という単語も聞かなくなり、コロナに円安に燃油高…と海外から足が遠のくばかりですが、円安・外貨高を機に海外イベントへの出展を考える方も増えたのではないでしょうか。
そこで皆さま気にされるのが「海外イベントに出展すべき人」の条件ですが……特にありません。

海外イベントに出展しやすい人とは?

「すべき人」の条件はありませんが、「海外イベントに出展しやすい人」という見方であれば条件をあげることができます。

ヒマな人
しやすい人の最大条件は休みの取りやすい人です。
海外イベントは現地の祝日や長期休暇に合わせて開催されます。日本の連休・長期休暇と同時期に開催されるイベントは多くはありません。
アジア圏ならば1~2月の旧正月、ヨーロッパ・アメリカ圏ならば5月末のバンクホリデー、7~8月の夏休みに大型イベントが集中します。
土日休みの社会人の場合、イベント終了後に即日本へ帰国するつもりであればアジア圏のイベントは出展可能。しかし日本から遠い国となるとより長い休みが必要となります。
休みを取得しやすい人、休む時期を調節できる人、無職の人、場所問わず仕事ができる人ほど海外イベントに出展しやすいといえるでしょう。
必要な資金を持ち合わせている人
次の条件は、渡航・現地滞在・イベント出展に必要な資金を事前に準備できる人です。
多少足りなくても現地で稼げるから大丈夫!と考えていると痛い目を見ます。
クラウドファンディングで資金を集める手段もありますが、個人的にはあまりおすすめしません。
トラブルに自力で対応できる人
最後の条件は、海外で何かあったときに自力である程度解決できる人です。
代理店を通しても現地でトラブルがあった場合、まずは自力での対応が求められます。

海外イベントに出展しない方がいい人とは?

一方で「出展しない方がいい人」はハッキリしています。以下の条件に当てはまるようであれば、いったん冷静になって計画を練り直しましょう。理由は各項目で説明します。

  1. 儲けたい人、赤字を出したくない人
  2. オタクが嫌いな人
  3. イベントに一度も参加したことがない・行ったことがない人
  4. きっちりしていないと許せない人

儲けたい人、赤字を出したくない人

「出展」を前に誰もがまず最初に考える事。そしてもっとも多い質問。
それは「海外のオタクイベント/日本文化イベントにお店を出したら儲かるの?」。
スポンサー皆無でやっている個人サイトなのでハッキリ書きます。儲かりません。

したがって「儲け」を目的に海外イベントに出展すると高確率で失敗します。

クールジャパンだ!Kawaii文化だ!海外出稼ぎだ!日本のコンテンツ力は世界一ィィィィーッ!…と、何十年も前から日本国内で言われ続けていますが、海外イベントの日本人出展者数はほぼ変化がありません。
国、会社、スポンサー等から旅費を全額支給してもらえる。電車で移動できるような近隣国から参加している。かかった金額はすべて経費として処理できる。
…という条件ならともかく、日本から海外イベントへ参加した場合、出展にかかる費用……往復フライト代、宿泊費、食費を売り上げから回収し、さらに儲けを出すのは容易ではありません。日本から近いアジア圏のイベントならともかく、遠い欧米のイベントに出展して儲けている日本人は少ないと思っていいでしょう。

もし誰もが確実に儲けられるのであれば、今頃フランスのジャパンエキスポやアメリカのアニメエキスポには日本の企業や個人サークルが何千と軒を並べるような事態になっているはずです。そうなってない時点で察しましょう。

素人だから儲からないだけでは?
「プロの商売人やコミケ壁クラスの大手同人サークルが出展すれば儲かるのでは?」と思った人もいるのではないでしょうか。
今から10年ほど前、「ジャパンエキスポに出稼ぎ!フランス0円ツアー」等と称し、日本からパリまでの旅費全額をエキスポの売り上げで賄った上で儲けも出そう!という、文字通り「出稼ぎ」ツアーを組んだ団体がいました。
数十万~数百万円の参加費にもかかわらず集まった参加者は100人。『クールジャパンビジネスのプロ』として界隈(?)では有名だという主催者が太鼓判を押すクールな日本アイテムを携えパリに挑みました。しかしエキスポ終了後、主催者だけでなく参加者すらもこの話題に一切触れなくなってしまったのです。
ひっそり公開された参加者の後日談によると「出稼ぎ」とは程遠い売り上げ。商売に関しては並以上のスキルを持っている参加者も数多くいたはずなのに、儲けどころか宿泊費すら稼ぐことができず終わってしまったそうです。

また、日本では誰もが知っているであろう超有名漫画家さんが個人でヨーロッパのイベントに出展されたことがありました。こちらも後日談によると「思ったほど売れなかった」そうです。
「商品のチョイスが悪かっただけでは?」「少人数で行けばよかったのでは?」「流行ジャンルを読み違えたのでは?」と敗因を分析された方もいましたが、以降、彼らが出展することがなかったことはお伝えしておきます。

オタクが嫌いな人

近年の海外の日本をテーマにしたイベントは、オタクコンテンツとは切っても切れない関係にあります。
「日本をテーマにしたイベントというから、もっと静かで文化的なものを想像していたのにアニメや漫画目当てのオタク客ばっかり…」
という感想を何度も目にしてきました。
「オタクコンテンツには耐性があるが、オタクがたくさんいる空間は耐えられない…」と、イベント1日目でリタイアした出展者もそれなりの数を見てきました。

いわゆる日本のオタク文化・アキバカルチャーに耐性のない人は、自分にあったイベントを探すか、オタク耐性を身に付けましょう。

イベントに一度も参加したことがない・行ったことがない人

初のイベント参加は海外だった!という人もいないこともありませんが、かなりのチャレンジャーといえます。
海外のイベントに出展参加したくなったら、まずはコミックマーケット(通称:コミケ)やコミックシティ(通称:シティ、赤ブー)といった日本の同人誌即売会に行ってみることをオススメします。
逆に同人誌即売会しか体験したことのない人は、『同人誌即売会』以外のイベントを体験するのもいいかもしれません。
「オタクイベントというからコミケのような同人誌即売会を想像していたら、企業ブースがメインでガッカリ…」ということもあるからです。

出展したい海外イベントを事前に視察に行くことが望ましいのですが、時間も資金も限られている個人の場合、視察をしている余裕はありません。
『想像したものと違ってガッカリ』案件を回避するためにも、日本国内のイベントでかまいませんので、実際にイベントに参加して、イベント経験値をあげておきましょう。

きっちりしていないと許せない人

海外のイベント…特に欧米のイベントはイベント運営団体もイベントスタッフも常にフレキシブル…良く言えば臨機応変、悪く言えばテキトーです。
スタッフによって回答が違うことは当たり前。事前に頼んだ内容と当日の対応が違うことも当たり前。なんなら約束守らないのも当たり前。イベント当日の交通機関からイベントの中身まで、計画通りに進まないことがほとんどです。
しっかりした対応を求めても、イベント開催直前~イベント終了直後までは「あなたにかまってる余裕はない」というような態度で放置されることも普通です。
きっちりしてくれないと許せない!というタイプの人はイライラしっぱなしで終わると思われますので、出展は止めましょう。